本書は、レポートや論文のような長い文章の書き方を学ぶための本ですが、よい長文を書くためには よい短文の書き方をしっかりと学ぶことが大事です。 長文といえど、短文の積み重ねでできているからです。
例えば以下の短文を見てください。
実験で発生した廃液は、後でまとめて廃棄処理しますので、流しに捨ててはいけません。
読みにくい文、というほどではありませんが、文のどの部分が主張なのか、パッと見だとわかりにくいため、明確さに欠けます。試しに該当箇所を強調してみましょう。
実験で発生した廃液は、後でまとめて廃棄処理しますので、流しに捨ててはいけません。
この文で伝えたい一番大事な主張は、廃液を流しに捨てるな、ということですが、その情報が文章の頭と末尾に分散してしまっています。
こんな短い文章ですら、ちょっとした配慮でより伝わりやすくすることができます。読み手のことを考えて文章を工夫する経験を積み重ねていけば、長い文章の読みやすさも自力で改善することができるようになります。本書ではよい短文の書き方について、演習問題をまじえて解説していますので、ぜひそちらにも挑戦してください。
また、生成AIを使いこなす上でも、短文の書き方は極めて重要となります。生成AIに情報や指示を与えるのは主に短文によってです。短文の質を向上させることは、生成AIの出力品質を向上させる上では欠かせません。
まずは短文の質を上げていくところから始めてみましょう。