報告書や論文などは、新しくわかった事実を人に伝えることを目的としていますが、執筆時点ではそれは様々な証拠から書き手が判断して「わかった」と考えた結果であり、まだ事実として広く認められる以前の事柄です。そのため、文章には主張のみを書くのではなく、それを支える根拠となる客観的事実をセットで書き、文章に説得力を持たせることが必要になります。
そこで大事になってくるのが、読み手から見てその記述が事実なのか主張なのかを、はっきりと区別できるように書くことです。
この区別は、いざレポートや論文を書くときだけでなく、普段の記録やミーティング用のメモなどを書く際にも意識しておくのがよいでしょう。本書ではその訓練法として、「What? So what? Now what?」(Terry 1970) と呼ばれる記述法について解説しています。これは、以下の三つを区別してメモに書く、というものです。
- What? 何があった?
- 起きたこと、観察したこと、すなわち事実を明確に書く
- So what? それがどうした?
- それがどのような価値を持つのか、どのように解釈・評価されるべきか、自分の判断を書く
- Now what? それではどうする?
- 以上の判断を踏まえて、次にどうするべきか、対応を書く
本書ではこれに沿ったメモの付け方を事例つきで紹介していますので、参考にしてください。