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読み手を意識する

1-2図解

大学に入ってからのレポート課題において、求められる書き方がそれまでと異なることにとまどう学生が多いようです。レポート課題に限らず、ゼミや研究室での連絡をテキストで行う機会も増えていきますが、そうした日々の連絡においてもそれまでとはレベルの異なる書き方が要求されます。この変化に気づかないと、大事な情報がなかなか相手に伝わらず、書き手と読み手の双方がもどかしくなってしまいます。ではいったい何が変化したのでしょうか。

一番の変化は読み手の変化です。小学校での作文や高校までのレポートだと、それを読むのはたかだか先生一人だと思って書いていた方も多いでしょう。課題の詳細や、どんな結論を書けばよいのかといったことを先生は知っているはずだという前提のもとに、正解を探るような書き方になっていた人も多いのではないでしょうか。

しかし、読者の皆さんが将来書いていかねばならない文章はそうではありません。大学ではゼミや研究室の仲間が目を通すでしょうし、会社に入れば職場の同僚や他の部署の人、さらには相手企業や顧客が読む文章を書く必要に、いずれ迫られます。論文や特許文書ともなれば、世界が相手です。自分をよく知っているたかだか一人に向けてではなく、多数の人へ向けて開かれた文章を書くことが求められているのです。

そしてあなたが書こうとしていることは、そうした多数の読み手にとって未知のことであるはずです。「はじめに」で伝えたように、自分にしか書けないことを、誰が読んでもわかるように書く。そのための技術を皆さんは身につける必要があります。大学のレポート課題はそうした文章を書くための訓練として課されているので、求められるレベルが突然上がったように感じるのです。

本書では、こうした読み手の変化に対処すべきポイントを解説しています。本トピックのみならず、下記トピックも読み手を意識する上で重要なことを解説していますので、あわせて参照してください。

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