上の図は、
青い魚をくわえた猫の子がいる
という文の解釈の仕方が、最低でも6通りあることを示しています。こんな単純な文ですら、誤解の余地が生じてしまうのです。
解釈が幾通りも生まれてしまう原因の一つは、「修飾語」と「被修飾語」との結びつきの不安定さにあります。文中の修飾語と被修飾語をどう結びつけて解釈するかは、読み手に委ねられています。書き手の想定した通りに結びつけて読んでもらうためには、読み手がそれらをどのように結びつけて読もうとするのか、その傾向を理解して、それに合うように言葉を並べることが大切です。
本書ではその傾向として、
- 近接法則…修飾語は、その後に続くもっとも近い被修飾語候補と結びつけられやすい
- 分裂法則…二文節以上の修飾語は分裂して解釈される危険性をもつ
という二つの法則を紹介しています。
これらの法則から導き出される原則として、本書では以下の三つを挙げています。
- 強調したい修飾関係では、修飾語と被修飾語とを近くに並べる
- 長い修飾語を前に、短い修飾語を後に配置する
- 語順を入れ替えても改善されない場合は文を区切る