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よい文章を書くために

本書の出発点は、「文章を書くことは難しい」ことを認めるところから始まります。本文から抜粋しましょう。

『高校生のための文章読本』(梅田 1986)という本では、よい文章の基準を以下の二つの項目で簡潔に書き表しています。

(1)自分にしか書けないことを
(2)誰が読んでもわかるように書く

ところが、この二つの項目はどうしても衝突してしまいます。「自分にしか書けないこと」というのは、自分にしかわからない情報を多分に含んでいます。しかしそれを誰が読んでもわかるように書くためには、そうした情報を一つ一つ、相手にそれが伝わるかどうかを吟味しながら文字に書き起こしていく作業が必要です。単に思ったことを書き連ねても、重要な情報が明確に示されていなければ、伝わりようがありません。本質的に、 文章を書くのは難しい ことなのです

その難しいことが、少しでも簡単になればという思いのもと、本書は設計されています。ふたたび本文から抜粋します。

本書は、そうした実用的な文章術を身につけるためのものです。ここで説明しているのは誰にでも習得できるような、基本的な技術です。レストランに並ぶような料理はできなくとも、日々の食事くらいは手早く簡単に作れるだけで生活がガラリと変わるように、地味であっても確実に伝わる文章の技術があるだけで、学生であればレポートや論文の作成が、社会人であれば日々の仕事が、格段に進めやすくなります。

文章書きの基本をあらためて学び直したい方は、ぜひ本書を手にとっていただければと思います。

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