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再現性: 読み手が同じことを再現できるように書く

旧版1-7図解

学術文書の目的は多くの場合、研究に基く調査結果や実験結果を報告することにあります。その結果の信頼性を担保するのが、「再現性」という考え方です。

文章を読んだ他の人がその調査や実験を同じように実施してみて、同じような結果が得られるのであればその結果の信頼性は高まります。

ですので、報告書や論文では、同じことが実施できるくらいに詳細な情報を提供することが求められます。「再現可能性」とも呼びます。

再現可能性の高い文章を書くことは、研究結果の信頼性を高める上で大変重要になります。不正を防ぐのはもちろんですし、不正の意図はなかったにしても研究にはどうしても間違いが生じる可能性があります。再現実験による検証はそうした間違いが及ぼす悪影響を食い止めるのに役立ちます。

再現性を高めるために書くべきこと

再現性が求められる文書のうちで身近な例に、料理のレシピがあります。レシピは料理の作り方を事細かに記した手順書です。それを読めば、必要最低限の料理の技術さえあれば誰でも同じ料理が作れるくらい、詳細な情報を提供することが求められます。

みんなに同じ味を提供し、正当に評価してもらうためには、再現可能性の高いレシピを書くことが大切です。そしてそれは学術文書でも同じことです。正当な評価を受けるためには、再現可能性の高い文章を提供しなければなりません。

情報の要不要を見極める

さて、できるだけ詳細な情報が求められているからといって、なにからなにまで書けばいいというものではありません。

しかし情報の要不要を見極めるのは、本質的に難しい問題です。実験した日の気温は関係あるのかないのか、担当者がその日着ていたシャツの色は…気にして書き始めたらキリがありません。かといって雑多な情報を書き過ぎるとうっとうしくてかないませんし、重要な情報が埋もれてしまいます。

先行研究を参考にしたり、指導教員や共著者とよく相談したりすることが大事です。

学術論文の場合、論文の投稿先で書くべき情報のガイドラインやチェックシートを配布していることがありますので、それらを確認するとよいでしょう。分野によっては実験で得られた生データや処理プログラムの提出を義務づけ、より再現性・信頼性を高めるための取り組みをしている場合があります。投稿前によく確認してください。