学生のレポートや論文を添削していると、接続詞が不足しているために読みにくくなってしまっているものを少なからず見かけます。
経験的に、接続詞が間違って使われていることは少ないようです。「正しい接続詞はどれか」という問いについては誰もがしっかりと訓練を受けているのでしょう。しかし「接続詞をいつ、どこに使うか」については、訓練が不足している人が多いようです。
接続詞は、「2-6 『つなぎ』が主張を明確にする」で説明した「つなぎ」の一種で、並んだ二つの情報をつなぐことで情報間の関係を示す役目を持ちます。また「1-5 読み手は先を予測しながら読んでいる」で示したように、接続詞はその後に続く文章の展開を予告することで、読み手の理解を助ける機能を持っています。
理工系の文書、例えば既存手法の改善手法について、その効果を実験で確かめた、という内容であれば、以下のように道筋を作ることができるでしょう。
- ○○を達成するには、△△という手法が知られている
- しかし△△には□□という欠点がある
- そこで我々は☆☆という新規手法を開発した
- 実験の結果、☆☆は□□において△△を凌駕することがわかった
最後の項目にある「実験の結果」は厳密には接続詞ではありませんが、接続詞と同等の効果を持っています。絶対に接続詞を使わねばならない、ということではありません。
この、接続詞で主張を形作るという考え方は、「2-8 パラグラフ・ライティング」と組み合わせることで、その真の威力を発揮します。