Header image

パラグラフ・ライティング

旧版2-8図解

段落(パラグラフ)とはなんのためにあるのか、考えたことはあるでしょうか。文章を書き続けていて、適当な長さになったり話題の切れ目になったりしたら段落を変える、くらいに思っていませんか。それぞれの段落がなんの役割を果たしているか、答えられますか。もし明確に答えることができないとしたら、考え方を変える必要があります。(本文より)

「パラグラフ・ライティング」とは、段落(パラグラフ)を文書の基本構成単位として捉える書き方で、論文やレポート、仕事の文書ではもはや基本中の基本として考えられています。本書でも1トピックをこれに割り当てて説明しています。

パラグラフ・ライティングの利点は様々にありますが、その最大の利点は、これさえ身につければ誰でも、とりあえずは「読める」文章を書ける地点に辿り着ける、という点にあると著者は考えています。主要な情報をどこに書き、補足情報をどこに書くべきか、つまり情報をどのように配置すると読み易いのか。パラグラフ・ライティングはそのもっとも基本的なガイドラインを設けるものであり、誰でもすぐに実践することができます。

また、パラグラフ・ライティングにのっとって書かれた文章は読み手にとっても利点がたくさんあります。パラグラフ・ライティングでは各段落の第一文(トピックセンテンス)をざっと拾い読みしていくだけでも内容をおおまかに把握できるように書くため、読み手は文章の全体像については流し読みをしつつ、必要に応じて詳細を読み込む、といった読み方ができるようになります。その文章に書かれている内容に通じている人は手早く必要な情報を得られ、そうでない人はじっくりと読み込むことで詳細情報を得られる、といったように、読み手の持つ情報量に応じた情報提供が、一つの文書でできるようになるのです。

さて本書では、「よい文章とは『よい段落』の積み重ねでできている」と捉え、「よい段落」のポイントを以下の三つに絞って説明しています。

  1. 一つの段落には、一つの役割だけがある
  2. 段落の役割が、段落冒頭の一文に要約されている
  3. 段落の残りの文は、トピックセンテンスを支える内容である

また、一通り文章を書き終えたら、各段落に次のような問題点がないかの点検を勧めています。

  • 段落の途中に逆接の接続詞が入っていないか
  • 冒頭の一行が長過ぎないか
  • 段落が長過ぎないか
  • 段落が短か過ぎないか

とりあえずは以上に気をつけるだけでも、段落の質はかなり改善されるでしょう。より詳しい説明は、本書 p.80 からをご覧ください。

なお、パラグラフ・ライティングを実践する上では、いきなり段落を書こうとするのではなく、トピックセンテンスに何を書くか、またどんな情報を補足するか、を事前に用意しておくと便利です。そのためには、本書の「4-2 『とにかく書く』ための箇条書き活用法」もあわせて目に通しておくとよいでしょう。箇条書きで文章の骨格を用意しておくと、それをそのまま段落へと書き起こしていくことができます。