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曖昧な表現を避ける

旧版3-9図解

文章を読むとき、私達は著者の言外の主張をなんとなく読み取る癖が身についています。これが小説や随筆であれば読み手の想像の余地を残すのも技術の一つなのかもしれませんが、理工系の文章では曖昧な表現は避けなければなりません。「1-7 再現性: 読み手が同じことを再現できるように書く」でも述べているように、書き手が行ったことを読み手が検証できるよう、具体的で明確な情報を、文章には盛り込まねばなりません。

しかしながら、自分の文章から曖昧な箇所を見つけるのは簡単なことではありません。自分はその詳細を知っているので、曖昧な記述があってもそれを補って読めてしまうため、問題を見過ごしてしまうのです。

本トピックでは、初心者の文章によく見られる曖昧表現のパターンとして次の4つを挙げています。

複数の例があるが、共通する性質が不明瞭
「アンケートの『趣味』の欄に、料理・ゲーム・読書などと記入した群と、映画鑑賞・工作・楽器などと記入した群があった」
それが例なのかどうかがわからない
「最初のプレイヤーをジャンケンで決めてください」
量が数値で表されていない・意図的にぼかされている
「長さは10cmくらい」「大きなビーカー」
中立的な表現
「気温が変化した」「両者には関係がある」

以下に本トピックの演習問題として掲載したものを示します。強調部の表現が曖昧であると感じたら、曖昧でない表現に書き換えてみてください。

  1. 代表的なこどもの遊びには、「かんけり」「おにごっこ」「かくれんぼ」などがある。
  2. 山に遊びに行っても構いませんが、川に近付いてはいけません
  3. 被験者 A は、用意された二つの鉛筆のうち、長いほうを使用した。
  4. 飛び出た釘にはハンマーを使った
  5. 我々は毎時00分に状況確認を行った
  6. 一部の被験者は、標準設定では音をうるさく感じると述べたため、音を調整した