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論文概要は「起承転解結」

旧版4-5図解

論文概要は、多数の読者に目を通してもらい、論文の内容をおおづかみに把握してもらうことを目的としています。ですから、その論文がどのような問題に取り組んでいて、どのような手法で解決を図り、どのような結論を得られたか、までのすべてを概要に盛り込む必要があります。

一方で、概要は厳しい字数制限がありますから、上記の内容を効率よくコンパクトにまとめる必要があります。そのためには、まずは基礎となる書き方を学んでおきましょう。そのためのガイドラインとして本書で示しているのが「起承転結」です。

以下に、本書に掲載したガイドラインを抜粋して紹介します。字数制限は500字を想定しています。

起:1文
研究の基本的な背景を、広い読者に通じるよう書く
承:1〜2文
「起」を引き継ぐ形で、より本論に近い、絞り込んだ背景を説明する
「起・承」までが、三部構成で言う「導入」に相当
転:1〜2文
研究で取り組んだ問題について書く
これまでの先行研究では明らかにされていなかった点に注目した研究であることをアピールする
文頭で「しかし…」「ところが…」などの逆説の接続詞を用いて、問題提起であることを明示する
解:1〜2文
「転」で示した問題点をどのように解決したのか、その手段および結果を示す
研究手段自体の新規性がさほど重要視されない分野であれば、手段についての記述は省いてもよい
「転・解」が、三部構成で言う「本論」に相当
結:1文
結論を一文で表す
三部構成で言う「展開」に相当

以上を、全体で6〜7文に収めることを目標に書きましょう。もちろん、書いた後で何度も読み返し改善しないといけないのは、本文も概要も変わりありません。むしろ、より多くの読者の目に触れる可能性がある分、概要こそしっかりと見直す必要があるとも言えます。また、概要といえど短いに越したことはないので、不要な文言を削って文章を絞り込んでいくことも大事です。